「・・・ん?どうしたよい、。」
「今日はっ、そのっ、・・・すみません、でした、」
「俺の所為で、マルコさんにまで迷惑を、」 賑やかな宴の席で、俺の近くから聞こえてきたのは宴とは相容れない、あからさまに沈んだそれだった。酒瓶を片手にゆるりとそちらの方へと視線をやれば、そこには声で推測したとおり、2番隊隊員である、見た目からも落ち込んでいる事がまる分かりなと、俺と同じように酒瓶を持っての隣に腰を落ち着けている1番隊隊長であるマルコがいて。
「(・・・別に、謝るようなヘマじゃなかった気がするが。)」
の言葉に、すぐに思い当たる節にぶち当たった俺は心の中でそんな事を返しながら2人の様子を見続けた。少し時間を戻すと、今日は珍しく俺達白ひげ海賊団に喧嘩を仕掛けてきた輩がいたんだが、その戦闘の時、がちょっとした無理をした・・・まあ、ちょっとと言ってもいつものからしたらのちょっと、だが。まあそれはともかく、そのちょっとの無理が今回は腕に小さなかすり傷(しかもその跡が体に残らねえ傷だ)をしただけにとどまったのは、今が謝っている奴がを助けたからで。
「そんな謝る事じゃねェよい。」
「俺はお前の腕を引っ張るぐれェの事しかしてねェよい。」 だから、気にするなと頭をゆるゆると撫でながら、へと返事をするのはマルコだ。あいつの言うとおり、助けたと言ってもマルコがが避けるより先にに向かってくる跳弾に気づいて腕を引っ張ったというものなのだ。俺達にとってはそんな些細な事だったんだが、にとってはそうはいかなかったようで。あいつのことだから、大方マルコに迷惑をかけて自分が嫌われるだとか思ってるんだろうが・・・
「(・・・そんな事、万が一にもねえっつうのになァ。)」
そう、そんな事が起こり得るはずがないのだ。マルコがを嫌うなんてそんなこと。大体、も分からねえもんかな。常に人に優しく、なんてくだらねェと一刀両断するマルコがにだけは面白いくらいに分かりやすく、いつもその態度をとっているところを見たら、マルコがを嫌うどころか、真反対の感情を抱いてることぐらい、聡いなら分かっても良いと思うんだが。ほんと、自分に向けられるそれにはとことん鈍いよなァ、あいつ。
「それよりも、傷はどうなったよい?痕は残るのか?」
「あ、いえ、ドクターはこれくらいなら傷は残らないだろうって・・・あの、本当にすみませんでした。」
「だから謝らなくいいって言ってるだろい? それより、痕が残らなくて良かったよい。」
「お前はただでさえ、怪我の多い奴だからなァ。」 ゆるりと、俺達には絶対に向けねェ、柔らかい笑みを浮かべながら、マルコはの腕へと手を伸ばして、包帯が巻かれてあるその場所へと手を這わせた。そんなマルコの行動に、「う、それは、そのっ、」なんて顔を赤くしちまいながらは普段の怪我の弁明をしようと慌てて口を開く。
「・・・あの2人、あれでまだ恋人同士じゃねェんだよな。」
「えっ、まだどっちも言ってなかったのか!?・・・あれでっ!?」
「おー、あれで。」
「・・・見てるこっちが焦らされるよな、ほんと。」
「どっからどう見たって、両想いじゃねェか。」 そんな2人の様子を見ていたのは案の定、俺だけではなかったようで。仲間のそんな声を耳にしながら、俺は再度酒を呷った。いい加減、好きだって言っちまえば良いのに。その光景が日常となってしまっている俺たちの間で、何度その会話が繰り返されたか。端から見ている俺達には2人の行き着くその先がハッピーエンド以外あり得ない事が分かっているのに、当の本人達には何故だかそれが全く分からないらしい。
「・・・どうする?また何か作戦練るか?」
「止めとけ、どうせまたマルコ隊長に気付かれて怒られるだけだぞ。」
「・・・前にやった時、怖かったよなァ、隊長。笑いながら静かに怒ってんだもんよ・・・」
「何がいけなかったんだろうなあ、」
「隊長と、早くくっつけ大作戦。」 すげェ良い案だと思ったのに。こそこそと、マルコとに聞こえないように続いた会話はそんなものだった。俺はやきもきしながらも、2人の様子を見守るだけに徹していたんだが、こんな風に、いても立ってもいられない奴も中にはいて。マルコに怒られると分かっていても、懲りずにそうして何やら策を考えているんだから・・・ほんと、愛されてるよな、あの2人。
「(つうか、マルコもマルコだよなァ。)」
もだが、マルコもマルコなのだ。腕に触れられただけで、顔を赤くするを見れば、あいつの気持ちに気付くことくらい、普段のマルコならば容易にできそうっつうのに・・・「憧れと勘違いしてんだよい。」 なんてそんな言葉を聞いたのはえらく前の話だ。・・・ずいぶんと面倒くさい2人だよ、まったく。
「今日は俺がの近くにいたから良かったが、普段はそういかねェ時の方が多いからなァ、」
「もう少し気をつけて怪我をしねェようにしてくれると、俺も嬉しいよい。」 そんな事を言いながら、マルコは腕に添えられていたその指を今度はよく怪我をする割には傷痕1つ残っていない、その頬へとするりと滑らせた。
だが、その言葉をどう解釈したのか、「・・・う、あの、頑張り、ます。」 マルコさんに、迷惑をかけないように。 なんて言葉では返事をして。・・・今のは、そういう意味で言ったんじゃないだろ、その会話を聞いていた仲間の誰もがそう思っただろう、らしいと言えば、らしいそれに、けれどマルコはその言葉が返ってくる事も想定済みだったようで、 「迷惑なんて言ってねェだろい、」
「心配なんだよい、が。」
「 え、?」
「お前は強い。それは俺も知ってるが、だからと言って、多少の傷は気にしなくていいって事にはならねェよい。だって、オヤジやエース、俺が怪我をしたら心配するだろ?」
「っ!あ、当たり前ですっ!!」
「それと同じだよい。」
「 、・・・おなじ、」
「ああ、が怪我をしたら、心配する奴がいるってことだ。」
「もちろん、俺もその中の1人だよい。」 だから、あまり1人で無理をしようとするんじゃねェよい。変わらず頬を撫でているその手で自分の方を向かせて、マルコはと視線を合わせながらそう言葉を紡いだ。そして、マルコの笑みにつられるように、漸くマルコの言葉を理解したが、何だか少し照れくさそうにしながらも、その顔を緩ませて。
・・・あーあ、すっかり2人の世界を作っちまって。もう、これのどこが恋人同士じゃねェんだか。甘ったるいその雰囲気に、「・・・ホント、早くくっついてくれねェかな、あの2人。」 と呟く声が聞こえたのも仕方ねェと思う。
「・・・俺、何か砂糖をそのまま食ってる気分だ・・・胸焼けしそう、」
「なァ、やっぱり何か作戦練った方が良くねェか?マルコ隊長と、早くくっつけ大作戦その2。」
「マルコ隊長にバレねェような作戦を俺達が考えつくと思うか?」
「・・・つうか、その作戦名はどうにかならねェのかよ。」
なんて、そんな声を聞いていると、それと同時に、
「グラララ、」
とその特徴的な笑い声も俺の隣から聞こえてきて。「 ・・・オヤジ?」 急に笑ったもんだがら、どうしたのかと思い、顔をそちらの方へと上げて名前を呼んだ。俺の隣にいたと言うことは、もちろんオヤジにも仲間達、そしてマルコとの会話が聞こえていた訳だが、
「なァに、ずいぶんと兄弟思いな息子達が多いなと思ってなァ。」
「親としては誇らしいじゃねェか。」 なんて一際大きな酒瓶をくいっと呷りながら、オヤジは嬉しそうな声を響かせて。見上げた時に俺の目に映った顔にはもちろんその声に伴う笑みが浮かんでいた。たぶん、2人の事にはオヤジが一番に気付いただろうし、一番よく知っているはずなのに、それでもオヤジはやきもきすることなく、そんな2人の様子を見守り続けている1人で。
たぶん、本人達の事なんだから、本人達の意思にまかせるのが一番良いと思っているんだろう。そういうオヤジなのだ、俺達の愛しい親父殿は。だから、俺もそんなオヤジに習って(・・・まあ、巻き込まれたくないって理由も俺にはあったりするが。)同じようにしてるんだが、 「さて、と、」
「 マルコに、」
「??どうしたよい、オヤジ?」
「はい、親父さん。」
「宴の最中に悪ィんだが、ちょっと頼まれてくれねェか?」
「この町のな・・・」 なんて、オヤジは2人にお使いを頼み始めた・・・結局、オヤジも息子思いの優しい父親だってことだ。(・・・ったく、オヤジには敵わねェなァ、)
ひとりよりふたり ふたりよりぼくら
何だかんだ言って、俺達みんな、早く2人に幸せになって欲しいと思っているんだ。
requested by 來華様
更新が遅くなって申し訳ないですっ!今回のリクエストは両思いなのに気付いていなくて、という普段私があまり書かないお話だったので、えらく興奮して書いた結果がこの長文です・・・orz これについてもすみませんっ。恋人同士で甘ったるいのも好きですが、こういうのも良いですね!思い合ってるのに気付いてないとか・・・(によによ)
そして、家族夢に近いようなマルコ夢という事でしたが、こ、こんな感じでよろしかったでしょうか・・・??もうちょっとオヤジを出したかったなあとか、仲間とマルコや主人公くん達を絡められたらなあとか思ったのですが、これ以上長文を晒す訳にはいかんだろうと自重しました(笑)
最後になりましたが、素敵なリクエストをありがとうございました!少しでも楽しんでいただけましたらこれ幸いです。
更新が遅くなって申し訳ないですっ!今回のリクエストは両思いなのに気付いていなくて、という普段私があまり書かないお話だったので、えらく興奮して書いた結果がこの長文です・・・orz これについてもすみませんっ。恋人同士で甘ったるいのも好きですが、こういうのも良いですね!思い合ってるのに気付いてないとか・・・(によによ)
そして、家族夢に近いようなマルコ夢という事でしたが、こ、こんな感じでよろしかったでしょうか・・・??もうちょっとオヤジを出したかったなあとか、仲間とマルコや主人公くん達を絡められたらなあとか思ったのですが、これ以上長文を晒す訳にはいかんだろうと自重しました(笑)
最後になりましたが、素敵なリクエストをありがとうございました!少しでも楽しんでいただけましたらこれ幸いです。
title by Lump / ひとりよりふたり ふたりよりぼくら(Middle)