えらいしかめ面をした人が2人。そしてその人達に挟まれてえらい嬉しそうに笑っている奴が1人。・・・何だその訳分からん状況は。普通の人であれば、その言葉しか出ないだろうそんな状況説明。だが、その言葉を伝えると、考えるよりも先にその状況が脳内で具現化されてしまう奴らがいる・・・まあ、それは俺達白ひげ海賊団な訳なんだが。そして、その後必ず口から出るのは大きなため息だったりする。


「マルコっ、お前にくっつきすぎだぞっ。」
「はっ、何だよい、エース。嫉妬か?」
「ち、違ェよ!だいたい、いつもなら俺の方がとくっついてンじゃねェか!」


白ひげ海賊団で行われる宴会では、やっぱり大所帯の所為もあるのか、多少の喧嘩があちらこちらで見かけられる。珍しい事ではないのだ、酒が入っていつもより喧嘩っ早くなるのも、陽気になるのも分かる。だから、その言い合いを止める奴らなんていないし、むしろけしかける奴の方が多いわけだが・・・俺の目の前で行われている、この喧嘩は、 


「マルコこそ、普段の俺達が羨ましくてが抵抗しない今くっつこうって考えてんじゃねェのかっ?」
「俺がそんな姑息な事考えるかよい。だいたい、普段も俺の方がと一緒にいる事が多いじゃねェか。」
「(・・・何度やれば気が済むんだ、この人達は。)」


いつ始まったか、なんて、もういちいち覚えていないが、気付いたら始まっていたこの言い合い。飛び交う声からも分かるように、言い合っているは偉大なる我らが1番隊隊長のマルコ隊長と、2番隊隊長のエース隊長の2人だ。そんな偉大な2人に平の隊員である俺すらもあからさまにため息を吐き出してしまう程の呆れる言い合いをしている原因は、2人の間に座って、ひどくご機嫌な様子で微笑んでいる、


「ふふ、 まるこ、さん。 えーす、たいちょ、」
「何だ、? っ!飲み過ぎて気持ち悪いのかっ?」
「ほら、手に持ってるコップ寄こせよい。これ以上飲んだら、身体に悪ィ。」


俺と同じく平隊員であるはずのに、お互いに向けていたしかめ面が嘘みてェに満面の笑みに変わって隊長達は話しかけた。・・・ああいうとこは器用だよな。言い合いながらもが飲み過ぎている事にちゃんと気付いていて、マルコ隊長はからコップを取り、エース隊長はの目の前にある酒瓶をテーブルから追いやっていた。


「う、おれの、さけ、」
「もう十分飲んだだろ?ほら、水。身体起こせるか?」
「、はい、」


マルコ隊長にもたれ掛かっていたは自分の手元から離れた酒を少し名残惜しそうに見ていたが、エース隊長が水の入ったコップを口元へと差し出せば、素直に身体を起こしてコップと一緒に、それを持っていたエース隊長の手ごと持って、ゆっくりとその水を喉に通した。マルコ隊長も隊長で、ふらふらと背筋をしゃんとできていないの背中を優しく支えていて(・・・言い合ってなかったら、絶妙のコンビなんだけどな、ほんと。)


「あーあ−、ほら、水が零れてるぞ。」
「ん、すみませ、  ふふ、」
「ん?どうしっ、!」
「たいちょうのて、あったかいです。」


「ふふ、あったかい。」 なんともまあ嬉しそうな笑みを浮かべて、は口元の水を拭き取ってくれたエース隊長の手をそのまま自分の頬へと滑らせ、猫のように擦り寄った。自分から口元に手を持っていったはずのエース隊長は、なぜかがしたその行動に、えらく顔を赤くしていて。(・・・)


「・・・自分からしといて、そんな顔してりゃ世話ねェよい。」
「ふふ、 まるこ、さんも、」
「ん?何だよい、水が足りなかったか?」
「まるこさんの、て、おれ、」


「すきです、よ、」 エース隊長の様子に呆れた顔を見せてそんな事を言うと、マルコ隊長の声を拾ったのは言われた本人ではなくの方であって。マルコ隊長の手を両手で持ったかと思えば、エース隊長の手が触れていないもう一方の頬へと寄せて、幸せそうな顔でそんな事を言うもんだから、


「 ・・・ったく、酒が入るとこれだから、」


口ではそんな事を言いながら、隊長の顔には分かりやすく笑みが浮かべられて、寄せられたその手を離すことなく、の好きなようにさせているんだから、マルコ隊長だってエース隊長の事をとやかく言えないんじゃないか、なんて俺は思うのである。


「!おいっ、マルコ!だからにくっつき過ぎだって言ってんだろ!」
が離さねェんだが?」
「良いからもうちょっと距離を保てっ!がけがれるっ!」
「・・・てめェはさっきから黙って聞いてりゃ、」


ようやく我に返ったエース隊長が再度マルコ隊長に突っかかれば、マルコ隊長もそれに対抗して、また喧嘩が白熱しだした。・・・それにしても、ホントに2人とも器用な人達である。おそらく2人ともいつも以上に酒を飲んでいるはずなのに(その証拠に顔は若干赤ら顔だ。)、が触れている箇所は全くと言っていいほどその様子が見られないのだから。


「(・・・しかし、いつになったら終わるんだ。)」


端から見れば何とも妙な喧嘩の様子を見ながら、そんな無駄な事を考える。俺達にとってせめてもの救いは2人が能力を使って喧嘩しない理性が残っていることだ。まあ、が近くにいるんだから使いはしないだろうけど。(いや、2人ならを避けて能力を使えそうだな。)(・・・いやな想像をしてしまった)


「(唯一この喧嘩を止められそうなオヤジ殿は、楽しそうに眺めてるしなァ。)」


些細な兄弟喧嘩、とか思っているんだろうオヤジはもちろん止める気はないらしい。そうなると、この喧嘩を止められる奴は1人な訳だが、・・・普段酒で酔わねェくせしてこういう時は。隊長達の間に挟まれる、なんてそこら辺の女が見たら羨ましがるだろうその位置で、えらく顔を緩ませているそいつへとそんな事を思いながら視線を移せば、 (・・・お、)


「えーす、たいちょう、」
「っ!どうした、?」
「まるこ、さん、」
「ん?どうしたよい、?」


俺の方が好きだとか、の事を想ってるだとか、いつの間にやら飛躍していたその言い合いがの発したその声でピタリと止んだ。頬へと滑らせていた2人の手を自らの手で包んで、両手を合わせるようにして足の上に持っていったかと思えば、その場所へと自分の額を合わせて、「 ふたりの、ことが、」


「 だいすき、です、」


「やさしくて、 おれの、たいせつな、」 酔っている所為で支離滅裂になってしまっているけれど、言わんとしている事は確実に2人に伝わっていたらしい。背中を丸めている所為で2人には見えていないかもしれないが、の顔がひどく綻んでしまっていることくらい、同じような顔をしている2人には、(あーあ、やだやだ、)


「  俺も、」

幸せ方程式

の事、大好きだからな。」 「愛してるよい、。」 なんて、2人の優しそうな声が響くのでした。



requested by 膿さま
VS話!ということで気合いを入れたら、若干長くなってしまいましたっ。読みづらくなってしまって申し訳ありませんっ。 VS話はギャグ方向にどうしても走りがちになってしまうので、甘い、甘いの!と念仏のように唱えながら書きました(笑) あ、甘くなっておるでしょうかっ??そしてVSになっておるのでしょうかっ?(そこからか)
す、少しでも楽しんでいただけましたらこれ幸いでございます!素敵なリクエストをありがとうございました!


title by white lie / 幸せ方程式