「・・・なあ、あの2人はいつまでああやって言い合ってるつもりなんだ?」
「さあ、どうでしょう?私が甲板に出てきた時はもうお二人はあんな感じでしたので。ヨホホ、それにしても本当に仲睦まじいですねえ。」
「・・・あれを仲睦まじいっつう言葉で片付けていいのか俺は甚だ疑問だけどな。」


雲も少ない、青空が広がるその下で、ウソップとブルックの間でそんな会話がされていたなんて事を俺は知るはずもなかった。気付かなかったのは少し距離があったからか、それとも彼との会話に夢中になっていた所為か。その彼らの会話の発端は、甲板で俺に抱きついているルフィと彼の背中へと手を伸ばしている俺のやりとりにあった。


***


「 ふふ、(楽しそうだな、)」


晴れているからと甲板で本を読んでいれば、フランキーと何やら楽しそうに話している彼の声が聞こえてきて、ふと本から目を離して彼らへと視線を向けた。そうすれば、ひどく楽しそうに笑っている彼らが視界に入ってきて、そんな姿を眺めているだけ俺も何だか楽しくなってくる。思わず読んでいた本をそっちのけにしてゆるりと笑みを浮かべて彼らを見ていれば、


「ホント好きよね、。」
「??何の事だい、ナミ?」
「ルフィの事に決まってるでしょ。だらしない顔しちゃって。」


いつの間にか俺の後ろに立っていたナミにそんな事を言われてしまった。呆れ半分のその言葉にそれ程だらしない顔をしていたのかと訊ねると、「・・・自覚無しなんだから質が悪いわ。」 なんて返事がくる。・・・顔が緩んでいる事は自覚していたけれど、まさか人に言われる程にだらしのない顔になっていたとは思わなくて、恥ずかしさからどうにか顔を隠そうと口を手に当てようとしていると、


「ナミ、!お前ら何話してたんだ?」
「 ルフィ、」
「あら、フランキーと遊んでたんじゃないの?」
「ああ、そうだぞ!けどなー、なんかがおかしな顔してたからよー。」


「何か気になっちまって。」 フランキーと会話をしていたはずのルフィがナミと俺の方へといつの間にかやってきていて。まさか話題の中心だった当の本人がやってくるとは思っていなかったし、まさかどうしたのだと訊かれるとも思っていなかったから、思わず俺はまごついてしまって。そんな俺の代わりにルフィへと返事をしたのは、何故だかまた呆れ半分の息を深く吐き出したナミだった。


「 全く、ホント似たもの同士ね、あんたら。毎日見せられるこっちの身にもなって欲しいわ。」
「ん?何言ってんだ、ナミ?」
「私達の船長は愛されてるって話よ。」
「!!な、ナミっ、」
「??どういうことだ?」
「それはから聞いたら?」
「え、ちょ、 ナミ!」


ナミがどうにかごまかしてくれるだろうと思っていたのに、紡がれたそれは全く正反対のそれで、俺は先程よりもひどく驚いてしまう。彼女の言葉になんとか反応し、放たれたそれに声をあげようとしたけれど、時既に遅く、踵を返したナミの背中は遠くへ行ってしまっていて、・・・そして隣には、


、どういうことだ?」


なんて、とても答えを聞きたそうな顔をしているルフィが視界いっぱいに映った。本人を目の前に、自分がどれだけ彼の事を見ていて、楽しそうな彼を遠目で見ているだけで自分も嬉しくなってしまうくらい、彼のことが好きなのだと言えというのだろうか?(・・・それ、は、)


「んん?、何か顔赤いぞ?」
「!、い、いや、その、これ、は、」


普段、彼に対してそう紡ぐ時、恥ずかしさなんか感じずに、気づいたら声にして伝えているのに、何故か顔に熱が集中していって。・・・けれどいくら恥ずかしいからと言って、目の前にある好奇心の色を含んだ彼の目を見てしまえば、躊躇っている脳内とは反対に、俺の口は自分でも気づかないうちにゆっくりと、「 俺が、その、」


「俺が、ルフィの事をどうしようもないくらい好きだという話をしてたんだ。」


「その、君の笑ってる姿を見て、俺が情けない顔をしてるのを、ナミに見られていたらしくて。」 1度口を開いてしまうと、知らないうちにするすると言葉は零れていって。けれど、その間もルフィの視線は相変わらず俺に注がれていたから、俺はその視線に耐えかねて、何を言っているんだろう俺は、と羞恥に駆られて視線も伏せ気味になってしまった。・・・だから、


「何言ってんだ!俺の方がの事好きだぞ!!」


だから、彼に両肩をぐいっと掴まれ正面を向かされた俺は全く予想していないそんな言葉が返ってきた事にひどく驚いてしまって。


「・・・ええと、ありが、とう?」
「にしし、おう!」


今、彼は俺の言葉を脳内でどう変換したのだろう?言葉を返そうにもどう返事をすれば良いのか分からなくて、けれど無意識に口から出たのは感謝のそれで。そうすれば、ルフィの顔には嬉しそうな笑みが浮かぶ。その笑みをじっと見つめていると、次第に彼が自分に好きだと言ってくれたのだという事を実感し始めて、( ルフィが、俺を、)


「 俺も、ルフィの事が好きだよ。」


先程の恥ずかしさはどこへやら、いつものように自然と声になって出てきたその言葉。笑みを浮かべてしまいながら、俺の肩を掴んでいた彼の手へと自分のそれを滑らせて重ねていると、けれどルフィは俺の言葉に何だか納得のいかないような顔をして、 「!それは違うぞっ、」


「俺の方がの事が好きなんだ!」
「・・・ルフィ、さっき俺がした話は、どっちが好きとかそういう競争の話ではないぞ?」
「ん?なんだ、違うのか?」


彼はどうやら自分が俺を好きだという思いよりも俺がルフィを好きだという思いが勝っているという話をしていたと思っていたらしい。ようやくその事を理解した俺はそう返事をする。勘違いから放たれたそれだったけれど、でも彼が俺の事をそう思ってくれているのだと知っただけで、もう顔がひどく。そんな事を思っていると、目の前に座っていたルフィが俺の方へと腕を伸ばしてきて、


「っ、わ! る、ルフィ?」
「ししっ、、嬉しそうだなァ!」
「 そう、だね。 ふふ、嬉しいよ、とても。」


「ルフィが俺の事を好きだと言ってくれる事が。」 やはり俺の顔は緩んでしまっていたらしい。ルフィに言われる程に緩んでしまっていたのか、と思うのだけれど、でも緩んだ顔はやっぱり戻ってきてくれなくて。・・・まあ、そんな事を気にする以前に、身体中に広がる彼の体温に全ての感覚を奪われてしまっているから、緩んだ筋肉を戻る努力もしていないのだけれど。

その体温に答えて、俺の彼の背へと手を伸ばしていれば、俺の言葉を聞き取ったルフィが楽しそうに言葉を紡いだ。「が嬉しくなるなら、何度だって言ってやるぞ!」


「大好きだぞ、っ!」


何の躊躇いもなく、放たれたそれが俺の身体に染みこんでいく。両腕がしっかりと俺の身体に巻き付けられていたから彼の顔を見ることはできなかったけれど、その顔には笑みが浮かべられていた事は俺にだって分かるから、


「ほらっ、次はの番だぞ!」


なんて言葉に、俺は彼と同じような顔をして、しっかりと彼を抱きしめて、同じ言葉を俺の全てで彼へと返すのだ。

ハッピーエンドは終わらない

そうして、最初の彼らの会話に戻るのである。

requested by 音夢様
好き好き言い合って周りに呆れられてる話ということで、妄想したらこういった具合になりましたが、い、いかがでしたでしょうかっ? ルフィと主人公くんに焦点を当てすぎて、周りに呆れられてる場面をほとんど出すことができなかったのが悔やまれますorzしかしこれ以上阿呆な文章を長くするのはいかんだろ、と思いとどまりました(笑)
最後になりましたが、素敵なリクエストをありがとうございました!私本人は書いていて楽しかったのですが、音夢様が少しでも楽しんでいただけたのでしたらこれ幸いです!


title by Lump / ハッピーエンドは終わらない(middle)