「ふふ、 (気持ちいいなあ、)」


甲板にいる俺の隣へとふわり降り立ったのは、青白い、綺麗な光を放っていたマルコさんで。その光と目の前を広がる柔らかそうなその羽毛をひと目見てしまえば、それらに誘われるがままに彼に近づいて彼に触っても良いかと許可をもらう前に、そのふわふわの羽へと顔を埋めてしまっていた。


「そんなに気持ちいいのかよい?」


「普段だったら良いっつっても自分からは来ねェってのに。」 なんて少し呆れた声音で言葉を紡ぐマルコさんはそれでも俺を受け入れてくれるのだから優しい人である。昔からこの感触が大好きで、俺がまだ幼い頃なんて、何かにつけて彼の背中に乗ったり触らせてもらったりした記憶がある(その度に、マルコさんは嫌な顔1つせず受け入れてくれていたけれど。)


「昔っからこれする度に近づいてきたからなァ。」


「迷惑じゃねェかって思ってるくせに、それでも近づいてくるのが可笑しかったよい。」 マルコさんも昔の事を・・・俺にとっては余計な事を思い出してくれたらしく、ケラケラと笑った。でも、今だってそうだけれど、あの頃の幼き自分にとってこの柔らかな感触を我慢することなんて到底無理だったのだ。マルコさんのその言葉に、俺も自分のした事までも思い出してしまって、途端に恥ずかしくなってその羽に顔を押しつける。


「ガキの頃からちっとも変わらねェよい、お前は。」
「・・・すみません、どうしても、」


「どうしても、この気持ちよさには勝てなくて。」 なんて俺がぽつりと呟くと、また1つ彼の笑い声が甲板に響き渡った。何か言わなくては、と思わず口から出てしまった言い訳がひどく子供じみていた事に、言ってしまった後で気付いてさらに羞恥心が俺の中を駆け巡った。本当に何言ってるんだろう、俺は。離れ難いけれど、でもいい加減このふわふわと俺を誘惑してくる羽から離れないとさらにいらぬ事まで口走ってしまいそうだと、ゆるゆると腕を、顔を柔らかなそれから離そうと、すれば、 「!、う、わっ、」


「 あれ、?(・・・はね?)」


急にマルコさんのいた方向へと引き寄せられて、俺の身体はその力の為すがままになって。・・・けれど先程までそこにあったはずの柔らかなその感触がいつまで経っても俺に襲ってこなくて、そして視界いっぱいに広がったのは綺麗な青色ではなく、「まァ、」


「それがお前の可愛くて仕方のねェところだが。」


そんな言葉が何が起こったのか把握していない俺の耳の近くで聞こえてきた。響いたその声と身体に広がるのを感じる自分とは別の体温に、ようやく脳内で今の状況の処理が始まったらしい。・・・聞こえてきたその声はもちろんマルコさんのそれで、ということは、先程俺が顔を埋めていたのとは違う心地よさがあるその体温も、もちろん、


「っ! ま、マルコ、さんっ、」
「ん?どうしたよい?」


ようやく今自分がいるのは不死鳥から戻ったマルコさんの腕の中だと言うことを理解して。俺は、先程覚えた恥ずかしさとは別のそれを抱いて、慌ててマルコさんから離れようとする、・・・のだけれど、引き寄せた張本人が俺の行動に素知らぬふりをして、腕を緩めてくれなくて、


「さっきまでこうやって抱きついてたってのに、何か問題でもあるのかい?」
「う、・・・それは、その、」


ひどく楽しそうな声音でマルコさんは俺にそんな事を訊ねてくる。彼の言うとおり、問題はないのだ・・・ただ、俺がいつまで経っても慣れることができていないだけで。そんな俺の反応に、マルコさんは「これも、昔っから変わらねェな?」なんて笑って言いながら、俺の頭をくしゃりと撫でる。


「い、嫌な訳じゃないんですっ、もちろん!・・・ただ、その、気恥ずかしいというか、何というか、」


勘違いされないようにと慌てて言葉を紡ぐのだけれど、その声すらもだんだん小さくなってしまう。・・・でも、本当に嫌な訳じゃないのだ。こうやって顔を赤くして恥ずかしさを感じながらも、じわじわと浸透してくる彼の体温を本気で手放そうとせず、むしろその体温にゆるりと近づいていってしまうのは、「あァ、もちろん分かってるよい。」


「これも、お前を愛しいと思っちまう1つの理由だからなァ。」


「そのままでいてくれると、俺としては有り難ェよい。 なァ、?」  なんてひどく優しい声で言ってくるマルコさんの事を、俺は、

くるくる回って恋に落ちていく

ふわふわの感触が好きなのは、きっとその持ち主が貴方だったからで。

requested by 黒豆様
マルコさーん!!(何) 素敵なリクエストを頂きそして妄想した結果、「不死鳥姿のマルコにもっふもふして、その後抱きしめられたら良いじゃない!」というとんでもない答えを見出してしまい、そのまま採用して書いた結果がこの文です(キリッ)(おまえ) す、少しでも楽しんでいただけましたらこれ幸いでございますっ。 最後になりましたが、素敵なリクエストをありがとうございました!


title by Lump / くるくる回って恋に落ちていく(middle)