「おお、ほんとに耳が付いてる・・・」
「あ、あの・・・」
仕事の話をしたくて、久しぶりにマルコ宅に押しかけてみれば、何ともまあメルヘンチックな姿をしたちっせェ少年が俺達を出迎えてくれて。こんな事言ったらマルコに蹴倒されるから直接は言わないけど、どう見てもマルコとは不釣り合いなその可愛らしいメルヘンチック(二度目)な姿の少年に、部屋へと迎えられた俺は仕事の話の事をすっかり忘れてしまいながら、その少年の真正面へと座ってその頭を撫で回した。
「・・・あの、えっと、」
俺の事を怖がる少年へと「大丈夫だぞー、俺はマルコの友達だからな。」なんて言いながら、ゆるゆるとその耳やら尻尾やらを撫でたり、首元へと手を滑らせたりしていると、少年はようやく少しだけ警戒心を解いてくれたらしい、ぎこちないそれだったが、ゆるりと俺の手に頬をすり寄せてくれた。(あー癒される)
「・・・何やってんだよい。」
「マルコ、これくれ。」
「・・・阿呆だろい、お前。」
そんな事をしていると、湯気の上がっているマグカップを両手に携えたマルコがリビングに姿を現して、呆れ声でそんな言葉を放ってきた。そんなマルコへと何の前置きもなく少年へと指を向けながらそう願ってみれば、返ってきたのはまあ、案の定な答えであって。
「・・・だろうな。 あ、少年、名前は?」
「あ、です。」
ちらちらとマルコの方を確認しながら、俺の質問に答える。あのマルコに、これだけ懐くなんて・・・とこれまた声に出さずにそんな事を思っていると、「・・・仕事の話、するんだろい。」 なんてマルコの声が聞こえてきて、ああそういえば、そうだった。なんて思い出して俺は持ってきた鞄から書類をがばっと机に出した。
「・・・それにしても、ほんと懐いてるよな、マルコに。」
「ん?・・・ああ、」
結局、仕事の話が終わったのは時計の針が0時を回った頃だった。仕事の邪魔をしないようにか、部屋に戻ろうとするのを引き留めてこの場に残らせていたも、マルコの足の上に頭を乗せてすっかり熟睡状態だった。頭で考えれば考える程、マルコとこの光景に違和感を覚えてしまうはずなのに、何故か心の中ではすとんと腑に落ちる何かがあるのだから、おかしな話である。
「 う、ん、」
「・・・?」
「まる、こ、さん・・・?」
頬杖を突いてパソコンのキーを叩くマルコと寝ているを見ながら、そんな言葉を投げかけていれば、下の方からそんな声がして。マルコの名前が紡がれ、少しの間、部屋の中に沈黙が流れたかと思えば、もぞもぞとマルコの足から起き上がろうとするの姿が俺とマルコの目に映って、
「ご、 ごめん、なさい。 おれ、マルコさん、の、とこで、ねちゃって、」
寝起きの所為か、少したどたどしいそれが残りながらも紡がれたそんな言葉。マルコがパソコンを使っているのを見たは、まだ仕事だと思ったんだろう、「あ、あの、おれ、部屋にもどって、」 なんて言いながらふらふらと立ち上がって一人で部屋に行こうとするもんだから、危なっかしいそれを見て、つい手伝おうと、俺も立ち上がろうと机に手を突いた、そんな時、 「わっ、 あ、 」
「 もうすぐ終わるから、ここで寝てろい。」
立ち上がろうとするの身体をゆるりと片手で掴んで、痛くないようにその頭を抱え込んで、再び、自分の足の上へとの頭を乗せて、そんな言葉を放ったのは。の頭を寝かしつけるようにゆるゆると撫でながら、その顔に今まで見たことねェような笑みを浮かべたのは、
「(・・・そりゃ、懐くわな。)」
そんな顔されれば。 また眠くなってきたのであろうが「お、やすみ、なさ、い、」 なんて舌足らずなそれで言葉を紡ぐのを聞きながら、俺は起こした膝を床へと降ろして、再度、頬杖を突き直した。
愛しくってしょうがない
どうやら俺の思ったよりも、仲良く二人で過ごしているようで。
素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by ウチナー様
title by リライト / 愛しくってしょうがない(「駄犬五題」)