「(今日もいい天気、)」


以前とは違って、燦々と光る太陽の下で、という訳にはいかないけれど、それでも大きな窓から入り込んでくるその暖かな光を浴びることのできるその場所で、俺は寝転がって丸まった。太陽の暖かさから言えば、やっぱり昔の方が勝ってしまうけれど、でもそれでも今の方が温かいと思ってしまうのは、


「 ったく、またそんなところで寝て、」


「ほら、せめてカーペットの上で寝てくれ。」 テーブルの上へと持っていたカップを置きながら、自分もカーペットの敷いてある床へと座り込んで俺へとそう言葉を紡いでくれたのは、俺の主人である、エースさんで。
苦笑しながらも自分の隣をぽんぽんと叩いてそこにくるように促してくれるエースさんのその言葉に、俺は緩む頬をそのままに頷いて、ゆるゆるとその場所へと移動した。


「エースさん、あのお仕事の、邪魔をしてしまいました、か?」


さっきまでエースさんの部屋に響いていたキーを叩く音と、そういえば、邪魔にならないように部屋から抜け出したんだっけ、当初の目的を忘れてしまっていた事を一緒に思い出して、エースさんへとそう言葉を紡いだ。そっと抜け出したつもりだったのだけれど、その音さえもエースさんの邪魔をしてしまったのかと思ったのだけれど、エースさんから伸びてきた手が、俺の頭をゆるりと撫でた。どうやら、邪魔はしてなかったらしい(・・・良かった、)


「いや、俺が休憩を入れたかっただけだ。仕事もそんなに急ぎのモンでもなかったしな、っと、」
「わっ、!」


俺の頭を撫でてくれているその手に安心しきったままで、そんな主人の声を聞いていれば、突然、ふわりと身体の浮く感覚が俺の中に走った。一体何が起こったのか分からないまま、その感覚に驚いて声しか出せなかったそんな一瞬の間に、身体の浮遊感はなくなって、その代わりに、後ろから抱き込まれるような、そんな心地よい感覚が、


「  エース、さん?」
「ん?どうした、?」
「あの、これは、」
「これ? 俺はただ休憩をとってるだけだぞ?」


間違いようのないその体温に、俺はなんとかエースさんに後ろから抱き込められている事を理解した・・・のは良いのだけれど、これの意味が先程もエースさんが言っていた、休憩になるなんて事までは、俺の頭もついていかなかった。居心地が悪い訳じゃない、むしろ、その心地よさを離したくなくなるようなそんな感覚なのだけれど、こんな事で、俺の主人の疲れがとれるとは思えなかった、から、


「あの、これは休憩に・・・」
「何だ、俺の休息を取り上げちまうのか?」
「う、い、いや、そうじゃなくて、」


不思議に思った事をそのままエースさんに伝えようとすれば、それを途中で遮るようにしてエースさんの不満そうな声が聞こえてきた。そんな声に、俺は慌てて否定の言葉をそう返すと、後ろにあるエースさんの顔を俺は見ることができなかったけれど、ふわりと、俺の主人が笑ってくれたような、気がして、


「なら、このままで良いんだ。」


「俺の一番幸せな休憩の仕方だ。他の誰も知らねェ、な?」 これ以上ないくらいに、ぴったりとくっついていたはずなのに、さらに触れるその面積が広くなったように感じるのは、実際にそうなった所為なのか、それとも俺の思い込みなのか。けれど、そう感じてしまうくらいに、俺の言葉に返されたエースさんのその言葉がとても嬉しく、愛しく感じたのは確かであって、(ああ、もう、)


「  、」
「 、はい、」
「俺と一緒に、休憩してくれるか?」


耳元で囁かれた、そんな俺の大好きな主人の声に、俺は頷く以外の答えを持つ術を知らないから

小さな意思表示

そんな俺の反応に、「ありがとな、」 嬉しそうな声が後ろから聞こえてきて、



素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by ウチナー様


title by リライト / 小さな意思表示(「素直になれない君へ5のお題」)