「たっだいまー!!」
「ー!帰ったぞ!」 キッチンで夕食の準備をしていれば、(・・・俺の主人はどうやら料理が苦手らしい。最初の頃は、それはもう・・・うん。) 玄関の方から聞こえてきたその愛しくて仕方がない大きな声。仕事が終わったばかりで疲れているはずなのに、ばたばたと聞こえてくる大きな足音に、俺はついつい頬を緩めてしまう。
「なんだキッチンにいたのか!ただいま、!」
「ふふ、お帰りなさい、ルフィさん。」
「もうすぐ作り終えますから、もう少し待っていてもらえますか?」 鍋の中をぐるりとおたまでかき混ぜながら、後ろからひょっこりと顔を出してくれていたルフィさんへとそう声をかける。けれど、いつもならすぐに帰ってくる返事がなかなか聞こえてこない。不思議に思った俺は、いまだに後ろにルフィさんの気配を感じながら、後ろへと振り返って、
「? あの、ルフィさっ、!」
言葉を紡ぎ終わる前に、俺の口はルフィさんの口で塞がれてしまった。突然のそれに、思わず目を丸くしてしまうのだけれど、すぐに離れず、離れるどころか深く入り込んでくるルフィさんのそれに、恥ずかしさやら何やら、いつの間にか、目を瞑ってしまっていて。腰へと回されていたルフィさんの手が、つい戻してしまっていた尻尾へとくるりと絡んでくるから、ビクンと情けないくらいに、身体を震わせてしまう。
「っ、 あ、あの、 ルフィ、さんっ?」
ようやく唇を離してくれたルフィさんへと、息絶え絶えになりながら、いきなりどうしたのだろうという意図を含めて彼の名前を呼ぶ。そうすれば、いつの間にか向き合うような形で彼の目の前に立たされるような形になってしまっていた俺の身体を、ルフィさんはそのまま自分の方へと抱きよせて、
「ルフィさん?」
「 待てねェ。」
「なんか、今すぐ食いたくなっちまった。」 俺の首元へと顔を埋めながら、そうはっきりと言葉を放ってきたルフィさん。この状況の中、夕食が待てないほどにお腹が減っていたのだろうか、なんて思う程、俺は鈍感な動物でもないから、かぷりと、歯を立てるようにして首筋へと唇を落としたルフィさんの行動に、再度、大きく身体を反応させながらも、自らも身体を擦り寄らせるようにして、ルフィさんへと腕を、尻尾を、絡ませて、「 夕食、遅くなってしまいますよ?」 なんて声をかければ、
「それよりも、今はを食いてェんだ。」
「・・・食べても良いか?」 そう言葉を投げかけてくる間にも、首元にやら、耳にやらと、唇を落としては甘噛みを繰り返すルフィさん。その質問は果たして訊いている意味があるのだろうかと思いながらも、俺の頬は緩んでいくばかりだから、
「ルフィさん、」
「ん?なんだ、?」
骨を沿うようにして這わされていたその指に、その唇へと、感覚全てを奪われるような錯覚に陥りながら、目の前に広がっていた、ルフィさんの首元へと、俺の本来の姿の時にするような舐め方でぺろりと、舌を這わせて、
「夕食を作る時は、ちゃんと待ってくれると、嬉しいです。」
「にしし!おう、分かった努力する!」
「 でも、今はを食わせろ。」 普段は聞く事のない、けれど心地よいその低音の声に、俺は結局すべてを持っていかれてしまうのだ。
「待て」ができない
それからまた、急襲してくる彼の唇を、俺はゆるりと受け入れた。
素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by 夕吏様
title by リライト / 「待て」ができない(駄犬五題)