広くて、外よりもずっと温かい大きな部屋。その温度のせいか、それとも別の心地よさが身体に伝わってきたからか、どうやら俺はまた寝入ってしまっていたらしい。覚醒していない脳内でそんな事を思いながら、重たくなっていたゆるりと瞼を上げれば、それと同時に自分の頭の上に手が置かれていて、その手がゆるゆると俺の頭を撫でてくれている事に、ようやく気付いた。


「   う、ん、」
「グラララ!相変わらず寝るのが好きな猫だな、おめェは。」


目を擦りながら寝言のような声を出してその場から身体を起こしていると、側から聞こえてきたそんな声。この部屋から俺の耳に響いてくる声なんて、もちろん俺は1人しか知らない訳なのだけれど、それでもそう分かってはいても、その声が聞こえてくる度に、俺の頬はひどく緩んでしまって。起き抜けの俺にわしゃわしゃと頭を撫でてくれながら、そうやって声をかけてくれる、俺の大好きな主人であるその人に、俺は自分の体を擦り寄せた。


「  ふふ、  エドワード、さん。」


いつもようにエドワードさんの膝の上に頭を置いて眠ってしまったのだろう、目の前にエドワードさんのその大きな足が広がっているのを良い事に、起こしていた身体をまた丸め込むように屈めて、再度エドワードさんの膝の上へと顔を沈み込ませてしまう。俺のそんなどうしようもない様子に、けれど俺の主人さんは俺を甘やかすのが、とても得意なようで。寄せてきた俺の頭をゆるゆるとまた撫でてくれて、


「  ったく、こんな事だけ上手くなりやがる。」
「??・・・こんな?」
「いや、分からねェならそれで良いさ。それよりも、また寝るのか?」


触れている所から伝わってくるエドワードさんの体温に、撫でられる心地よさに、つい意識を手放してしまいそうになる。けれど、エドワードさんから紡がれたそんな言葉に、仕事でもするのだろうかと思って、愛しい主人の邪魔になりたくはなかったから、意識を何とか保ちつつ、名残惜しさを抱きながらもその場所から離れようとすれば、


「 あの、エドワード、さ、 わっ、!」
「グラララ、そう言う意味で言ったんじゃねェよ。そんな所は、相変わらずだなァ?」
「あ、わ、 え、エドワード、さん? こ、の格好、は??」


エドワードさんから離れようと腰を上げたのだけれど、それと同時に、感じるはずのない、大きな浮遊感が俺を襲ってきて。不意のその感覚に驚いて、思わず、目の前に広がるエドワードさんの背中へと腕を伸ばして、落ちないようにしっかりとそれを掴んだ。俺の手が伸びているその場所と、宙に浮いたその感覚から、俺はエドワードさんに抱きかかえられたのだと言う事にようやく気付いたのだけれど、そうされる理由がさっぱり分からなくて。咄嗟に主人の名前を呼ぶ事しかできない俺に、耳に響いてきたのは、


「 俺も、久しぶりに昼寝をしてみたくなったんでな。」
「  え、?」
「だが、ソファで寝るのも、後で身体が痛くなるってもんだ。」


「 ベッドで一緒に昼寝でもするか。」 ああもう、俺の愛しい主人は、どこまで俺を喜ばせてくれるんだろう。聞こえてきたエドワードさんの、俺の大好きなその声が、俺の脳内へと響いて融けて、それと同じように、頬さえも緩みきって融けてしまうように感じてしまって。隠す事もできなさそうな、そんな顔で、不安定ながらもけれどどこか安心できるその格好のまま、溢れ出してくるそれを少しでもエドワードさんへと伝わるようにと、「なァ、?」なんて呼んでくれる貴方の首元へと擦り寄って、


「  エドワードさん、」
「ん?」


どこかの国では、猫はこたつ、という身体を温める道具で丸くなっている、なんて歌があるらしいとエドワードさんから聞いたけれど、俺は、そんな道具で身体を温めるよりも、ずっと、 (なんて言ったら、俺で暖を取るのか?なんて、怒られてしまうかな。)(ああでも、俺を甘やかすのが得意な
俺の大好きな主人は、 きっと、)


「  大好き、です。」
「グラララ!  あァ、知ってるさ。」

ときどきあまえんぼうになります

擦り寄る俺の身体を、大好きな俺の主人はいつも抱きとめてくれるのです。



素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by ウチナー様


title by リライト / ときどきあまえんぼうになります(猛獣の飼い方10の基本)