無謀にも戦いを挑んできた海軍の船を蹴散らした今日、それを理由にか船の中では宴が開かれていて。それぞれが盛大に騒いでいる中、もちろん俺も宴を楽しんでいたのだけれど少し強めの酒を飲んだからだろう、周りの空気とも相俟って酔いが回り始めたのに気付いた俺は甲板に出て酔いを覚ましてこようと気付かれないようにそっと扉の外へと出て行った、・・・・はずなのだけれど、それは船長に気付かれていたらしく。



「   、」
「 船長、どうしたん、っ、」


自分の名前を呼ばれて後ろを振り返りながらそう言葉を口に出していれば、その途中で俺の口は船長の同じそれで塞がれてしまって。すぐに離れるのかと思っていれば、船長から降ってきたそれは決して短くもなくて、浅くもなくて。突然のそれに、すぐさま身体の中にあった酸素は底を尽きてしまって、言葉に成っていない声を重ねているその隙間から漏らしながらそれと同時に少しでも酸素を口内へ入れようとするのだけれど、当然のように求める酸素量が得られるはずもなく甲板に俺の情けない声だけが響いて。


「     いきなり、何ですか?」


ようやく離してくれた船長にめいいっぱいの酸素を体内に入れながら言葉を放てば、俺と視線を合わせていた船長はこれまた突然に、そんなに勢いよくしなくてもできる距離にいるというのに、俺の船長という人は「   ッ、」勢いよくがばっと俺の背中に手を回して抱きついてきて。


「う、わっ。  もう、だから何なんですか?(全部、いきなり・・・)」
「・・・今日来た海軍、を捕まえるだ攫うだ言ってやがって、」


「俺の、俺のに、」 なんて拗ねたようなその声色で、小さな声でそんな言葉を紡ぎ出してくる船長。俺と船長の距離が距離だから、潮風にさらわれそうなそんな声でも一字一句漏らさず聞こえてきて。ぶちぶちと文句を言っているそんな船長に、何だか愛おしさが芽生えてくるのは、至極当然な事だと、俺は思うわけで。(俺を攫うだ何だと言っていた海軍にそんな事を言うということは、 つまり、船長が、)


「ふふ、シャンクス船長、」
「な、何で笑うんだっ!お前を攫うだ何だと言ってたんだぞ!!しかもあいつらに痕なんか残してっ!!」
「・・・銃が掠っただけの痕じゃないですか。(なんて言い方をするんだこの人は。)」


もあまり無理をするな?お前は俺の見てない所ですぐに無理をしでかすんだから・・・」 船長のあまりにもあれな言い方に息を深く吐きながら言葉を返すのだけれど、俺を心配してくれているのだと言う事は、言い方如何はどうであれ、言葉の端々から伝わってくるのであって。先程抱きつかれた勢いで甲板に座り込んでしまった俺はそんな愛しい事を紡ぎ出してくれる船長のその背中へと、先程の笑みを浮かべたままに腕を伸ばしていって。


「海軍に攫われたりなんかしませんよ。船長にそんな顔されたくありませんから、ね?」
「うっ、はそう思っているかも知れないが、だな、」
「ああでも、船長の事を悪く言われたら、海軍であろうと誰であろうと、船長がダメと言っても乗り込んでいきますよ?」
「だからそれを止めろって!!」


「ふふ、大丈夫です。ちゃんと、貴方の側に帰ってきますから。」 俺の言葉に眉をハの字にしたり困った声で言葉を発したりと忙しく顔全体を動かす船長に、そう喉を震わせて船長へと響かせれば、がしっと俺の肩を掴んで俺に言い聞かせるように言葉を発していた船長は、「う、」なんて言葉を詰まらせて、ため息をつきながらも、結局、俺のその言葉を信じてくれる訳で。


「   ちゃんと、側に戻ってくるんだぞ?」
「ええ、それが愛しい船長の望みなら   必ず。」


「できれば、怪我もしないで帰ってきて欲しいが。」 俺のその言葉に笑みを浮かべながらもう1つ俺にそう願いを言ってくる船長、だけれど次に発せられる俺の言葉を分かっているのだろう、船長は自分の願いだけ言うだけ言うと、船長に返事をしようとする俺のその唇へと自分のそれを重ねてきて。「   、」 なんて心配そうな、拗ねたような先程の声とは違った響いてくるその声と、先程と変わらない、短くも、浅くもない船長から降ってくるそれと、俺は船長の背中に回していた手を首の後ろへと移動させて、その両方を、身体の全てを持ってして受け入れるのであった。

愛しい貴方の、その側に、

伝わってくるそれら全てが、愛おしくて仕方が無くて、



素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by 林檎様