「 、」
見張り台の扉が開いたと同時に聞こえてきたのは我らが船長の俺の名前を呼ぶ声であって。彼が夜中に目を覚ますなんて珍しいことこの上ない事であったから、それに対しての驚きでその場を動くことができなかった。けれどそんな俺にお構いなしにゆっくりと彼は俺の方へと歩み寄ってきて、さらにはそのまま倒れ込みそうな勢いで前のめりに身体を傾けてきたものだから、俺はとっさに飲んでいたココアの入ったそのマグカップをこぼさない場所へと持っていくのがやっとで、倒れ込んでくる彼を受け止めることはもちろんできなくて。
「う、わっ 」
そのまま真正面から彼のそれを受け止めてしまった俺はそのままイスに寝転ぶような形になってしまって。ルフィが無意識にそのことを配慮してくれたのかどうかは定かではないけれど、幸い身体を強打する事はなかった。そして身を包んでくれていたタオルケットは俺の背中に敷かれてしまって、代わりに俺に温かさを感じさせてくれているのは、彼から伝わってくるその体温であって。
「 ルフィ?」
俺の首元に顔を沈めて、俺とタオルケットの間に腕を入れてその辺に漂っている空気でさえも入り込ませないように肌を密着させてきて。何が何だか分からないままに彼の名前を呼んで理由を訊こうとすれば、ルフィはようやく首元から顔を上げて俺の方へとその瞳を向けてくれた。
「どうしたんだ?」
「 分かんねェけど、」
「なんかこうしたくなった。」 彼がこうして俺にいきなり抱きついてくる事なんて珍しいものでもなく、むしろそれは日常とまでなっているのではないかという頻度で彼は俺にこうして抱きついてきてくれるものだから、別にそれに関してどうこう言うわけでもなく。けれど何となく、昼間に抱きついてくる時の理由とは何だか違うような気がしたから彼にそう訊ねれば、返ってくる言葉はいつもと変わらないそれであって。けれどその言葉に何やらいつもとは違う、何というか、扇情的なそれが見え隠れしていたように思えてしまった俺は、彼の頬へと指を伸ばしてそろそろと彼の肌へと自分のそれを触れさせて。
「 、」
彼は俺のそれを了承と取ったのかどうかは分からないけれど、彼はそれを合図として俺の唇へと噛み付いてきて。先程まで夢の中へ旅立っていたとは思えないようなそんな貪るようなそれに、彼らしいというか何というか、なんて思いながら心の中で笑みを漏らしていれば、いつのまにか酸素を求め始めていた脳内のそれと合わせてルフィの唇が俺から離れていって。
「 の唇、甘ェな。」
「君が来るまで、ココアを飲んでいたからね。」
額同士をくっつけたまま、彼は俺の唇をぺろりと舐めて笑みを浮かべてそんな事を言ってくるから、俺はその言葉に返事をして「君も飲むかい?」 何とか零れずに済んだマグカップを指差しながら彼にそう訊ねれば、「あァ、いる。」 なんて返ってきたから俺はてっきりそのココアを飲むのかと思いそのマグカップへと腕を伸ばしていたのだけれど、目の前に迫ってくる彼の唇を視界に入れた瞬間、伸ばしていた腕はぴたっと固まって動かなくなってしまって。
「 ・・・ルフィ、俺はココアはいるかどうかと訊いたつもりだったんだが?」
「 俺はこっちが良い、」
俺の言葉にもう待てないと言わんばかりなその言葉で俺に返事をしてくるルフィは、言い終わりざまに首筋へと自分の唇を落としてきて。急なそれに俺が喉を震わせれば、のぞいてくる瞳に、「 、」 先程から発せられる俺の名前にすらその色が深められていっている事が明らかに感じられて。本能に従うままに俺へとその色を向けてくるルフィもルフィだが、その色に染まってしまう俺も 俺な訳で。(まったく、君も俺も仕方のない、)
「ふふ、全く仕方のない船長だな。」
「 ルフィ、」 彼と同じように、彼のその名前を紡ぎ出して彼の唇へと自分から噛み付いていけば、彼は嬉しそうな笑みを浮かべて、俺のそれに答えてくれて。それからどちらからともなく、その色を深めて、またその色へと堕ちていくのであった。
その色に染まれば、最後、
彼からのその口付けは、染まるそれを加速させる、愛しいそれであるのだけれど
素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by 匿名様
requested by 匿名様
そしてこんな所で申し訳ないのですが、大好きですだなんて言ってくださってありがとうございますです!!そんな事を言ってくださる貴方様を私は愛してしまいそうですけれどもっ(止めろ)