「・・・ん、」


自分の意識が浮上した事を感じつつ、その事でどうやら俺は読書をしながら眠ってしまったらしい事に気付く。自分の膝に置かれている本へといまだにぼやけている焦点を合わせようとするのだが、一向に本に書かれてあるはずの字が現れてこない。何故だろうと思いながら、ふと、足がずいぶんと暖かい事に気付いて、焦点が合ってきた俺の視界に、その温かさの理由である、ブランケットが目に入ってきた。


「(  、)」


こんな事をしてくれる奴なんて、この家に1人しかいない訳だが、そんな何気ない俺の愛しい人の優しさに思わず頬を緩めてしまう。それに甘えてもう少し昼寝をしても良いかとも思ったんだが、キッチンの方から漂ってくる良い匂いが俺の鼻を擽って。そう言えば、夕食はミートソースが余ったからパスタにでもするってが言っていた気がする。


「(  というか、もう、そんな時間なのか?)」


そんな香りに、ふと見やった時計に、とても昼寝とは呼べない時間になっていることを理解して、どれだけ寝てしまっていたんだろうと、苦笑を漏らす。曲がっていた背筋を伸ばすようにして腕を上げて、ひと息ついた俺は、の掛けてくれたブランケットを丁寧にたたんで、緩む顔をそのままに、美味そうな匂いのするキッチンへと足を向けた。(本当、良い匂いだな、)



「  、」
「ふふ、おはよう、シリウス。」
「  ああ、おはよう。」


「丁度、起こしに行こうかなって思っていたところ。」 時間帯から言ったら少しおかしい、そんな挨拶を交わしながら、は何やら煮込んでいるらしいその鍋の側でゆるゆるとその中を混ぜていた。俺の鼻を擽っていたパスタは先程茹で上がったらしい、ボウルの中から湯気が上がるのが見えた。


「何か、手伝う事あるか?」
「ふふ、ありがと。じゃあ、そのパスタをお皿に乗せて、ミートソースをかけてくれる?」
「了解。」


さっきまでは何ともなかったのに、が作っている姿とぐつぐつと美味そうな匂いのする料理を視界に入れていると、急に食欲が疼き始めてしまって。俺の声にそれを察したのか、は楽しそうに笑いを零しながら、俺に指示を出してくれた。それから俺は、既にテーブルに置かれていた皿を取って、まだ温かいパスタをそこに乗せて、が煮込んでいたスープの隣で温めてあったミートソースへと、


「 もう、シリウス?手伝ってくれるんじゃなかったの?」


ミートソースの入った鍋へと手を伸ばす前に、その奥にいたの方へと俺は手を伸ばしてしまったらしい。後ろから邪魔にできるだけ邪魔にならないようにそっと抱きしめて、首元に顔を埋めていれば、苦笑を漏らしながらはそう言葉を紡いできた。けれど、その苦笑は本気でが困った時のそれでは無い事って事くらい、俺は知ってる。


「  、」
「うん?どうしたの、シリウス?」
「・・・俺、」


こんな家、2人で生活するには広すぎるし、何より俺の嫌いな奴らが住んでいた所にまた住むだなんて、最初は嫌悪感がなかったと言えば嘘になる。けど、な、  

けど、  こうして、俺の愛しい人と、こんな風に、


「 俺、今、すげえ幸せ。」


の身体に絡めていた腕を強くしながらそう言った俺に、「 ふふ、私も。とても幸せよ?」 なんてはまた俺を喜ばせるような事を言ってくれるんだ。(ああもう、そんなんだから、俺が、)

溢れ出てくる、その感情は

そんな君が愛おしくて仕方がないんだ




というわけで、「蒼蓮緋逢」の影詠様への相互リンク記念夢の捧げ物でございました!
あ、あの、すみません、「グリモールドプレイスに同居設定」という素敵すぎるリクエストをいただいたのにそれを抽象的にしか出せませんでしたっ、本当に申し訳ないですっ(陳謝) 妄想フルスロットルの結果、ただ単に2人がいちゃこらしておる夢になってしまったのですが・・・本当もうなんか、申し訳ないとしか言いようが;
わ、私としたら非常に楽しく書かせて頂いたのですがっ(おまえ、) 素敵なリクエストを本当にありがとうございましたっ!!あ、この小説は影詠様のお好きなようになさってくださいませ!煮るなり焼くなり何なりとお好きなようにしてやってくださると嬉しいです!