「・・・先輩、」


夏休暇、マルフォイ家に1週間ほど滞在する事になったのだけれど、昨夜、ルシウスさんと遅くまでチェスをしていた所為か、いつも起きるはずの時間に私は目を覚まさなかったらしい。今の時刻なんて寝ている私には分かるはずもなかったのだけれど、「もう昼食の時間になってしまいますよ。」なんて声が耳に入ってきた気がして、もう起きる時間はとっくに過ぎてしまっているこということだけは動かない頭で何とか判断がついた。


「  先輩、聞いていますか?」


ドラコの、私を呼ぶ声が部屋に響く。その声に反応してそのまま起きたら良かったのだけれど、それも何だか惜しいと思ってしまって、もう少し彼の様子を見てみようか、なんて考えが頭の中で浮かんでしまって。


「(  でも、彼の声が、)」


いつも聞いているはずのドラコの声が、何となくだけれどいつもとは違ったように響いてくる気がして、それがさらに心地よく身体に染み込んでいく気がして。彼に悪いかな、なんて思いながらも、もう少し瞼を下ろしたままでいようかと駄目な考えが浮かんだ。



「  父上と、遅くまでチェスなんかするから・・・」



閉じたままでいれば、上から降ってきたのは少し不満そうなそんな声で。そういえば、チェスをしている時の隣に座っていたドラコの顔はあまり機嫌の良いそれではなかったような。ルシウスさんの手前、一生懸命にそれを隠していたのだろう、チェス勝負に夢中だったルシウスさんもドラコのその顔に気が付いていないようだった。遠慮がちに私の手をそっと握ってそう言葉を漏らすドラコに、不謹慎ながらも、愛らしいなんて感情が溢れてきてしまって。


「・・・父上や母上と一緒に過ごすのも嬉しいですけど、」


「・・・僕も、貴方と一緒に、」 紡がれた愛しすぎるそんな言葉に、我慢が出来るほど、私も人間できているはずもなく、


「っ、 わっ!」



自分で気付いた時にはドラコの腕を引っ張って、自分のベッドの中へと倒れ込ませた後であって。「なっ、先輩っ!?」 なんて驚くドラコの顔を近くで見て、笑みが浮かんできて、


「  ふふ、もう少し、こうしていてくれる?」


「 私も、貴方の側にいたいから、ね?」 先程耳に響いてきたドラコのその言葉をまるで復唱するかのようなそんな言葉を、驚きからか何なのか、少し顔を赤らめながらこちらを見ているドラコの耳元でそう囁けば、私がドラコの言葉を真似して言っているのに気が付いたのか、「 お、起きていたんですか?」 なんて目を丸くして、起きていたのなら最初から・・・なんて言わんばかりに再度、不満そうな顔を見せる彼。けれどそんな顔でさえ、どうしようもない私の目には、


「   、先輩?」
「ふふ、おやすみ、  私の愛しいドラコ。」


「  ま、また、 そんなこと、をっ、」 なんて、先程よりも顔を紅くしたドラコの顔を瞳に映しながら、揺るんでいく顔をそのままに、ゆるりと瞼を下ろしていった。(たまには、二度寝しても、ね?)

微睡みの中に感じるそれは

ひどく心地よい、愛しいものであって




素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by くろうさぎ様