「全く、客人を招いておきながら2人の世界に入るんだからね、彼らは。」


言葉ではそんな事を言いながらも笑みを隠す事すらしないルーピン先生と一緒にキッチンで紅茶を準備する。この作業も今日に始まった事じゃないから、僕もだいたいキッチンのどこに何があるのかを覚えてきてしまった。


「先生、は落ちた後、どうなったんですか?」


気になっていた事を先生にそう訊ねる。そうすれば先生は「ああ、そう言えば途中だったね。」 なんて笑みを漏らして、さっきの続きを話してくれた。


「さっきシリウスが言っていたように、僕の隣でシリウスがとジェームズの写真を撮っていたその後に、の箒が本当に突然失速して、箒から落ちてしまってね。」
「でも、は上手かったんでしょう?それなら、急に失速するなんて事・・・」
「ああ、うん・・・それはね、スリザリンの生徒が原因でね。」


先生の話によると、父さんに何か魔法を掛けようとしたスリザリンの生徒をいち早く見つけたが自ら父さんを庇って身代わりになったらしい。それで傷を受けなかったにしても、数日間、は目を覚まさなかったそうだ。


「もちろん、僕もジェームズも、君のお母さんのリリーも本当に心配したさ。けれど、僕ら以上に、」
「・・・シリウス、ですか?」
「ふふ、ご名答。」


先程のシリウスの表情からも、声からも、本当にシリウスが心配していたんだという事だけは理解できていた。パチンと指を鳴らして、僕にそう言った先生は「ハリー、君も見ていて分かっただろうけど、」


は大切な人や友人のためになら、自分をいくらでも後回しにする人間でね。」


「それは別に悪い事ではないのだけれど、の場合、少々無理をし過ぎる癖があってね。」 少し困った表情を顔に浮かべながら、そう言葉を漏らす先生に僕はゆっくり頷いた。確かにそんな一面がある、と思い当たる節々をここ何日かでも思い返せたからだ。けれど、僕が見た先生の表情からは、困ったその色も見せていたけれど、でも、その中にはキッチンに向かう時のような、その笑みを浮かべていて、


「・・・まあ、何だかんだ言っても、そんなが好きなんだけどね。」


「   僕らも、シリウスも、」 そう言いながら先生は沸騰したお湯をまたティーポットと注ぎ込んだ。透明な水が綺麗に染まっていくその姿が、まるでとシリウスを取り巻く色のように何だか思えた。


「ルーピン先生、」
「うん?何だい、ハリー?」
「・・・僕、ここに来てまだほんの少ししか経ってないけど、 とっても幸せです。」


僕の言葉を聞いた先生は、目を見開いて驚いたような素振りを一瞬見せたけれど、すぐにその顔には優しそうな笑みが浮かべられたんだ。


「  そうだね、僕もこんなに穏やかで心地よい日々は久しぶりだよ。」


ホグワーツに入って3回目の夏休み、僕はとても楽しい休暇を過ごせています。

おまけ編

温かくて、優しい。  けど今感じているこれは、紅茶のようには冷めないと思うんだ。





素敵なリクエストをありがとうございました!そして長文化してしまって申し訳ないっ。
requested by ノア様