僕にとっては長くて嫌な夏休み。シリウスのおかげで去年よりもましな夏休みが過ごせそうだったけれど、それでも僕にとっては一番退屈な休暇だ。早くホグワーツに帰りたいと願いながら、小言がうるさいバーノンおじさん達に耐えて毎日を送る日々が続いていた。・・・だけど、その夏休みが3回目の今回は全くと言って良いほど、苦痛なくいやむしろ、とても楽しく過ごせそうなんだ!


「それでね、ハリー。この写真を撮った時に・・・」


僕の真向かいでそう楽しそうに昔のアルバムを見せてくれるのは、僕の名付け親であるシリウスの恋人の。とても優しい人で、本当に綺麗な人。本人は「男が綺麗って言われてもね。」なんて苦笑いをしながら言っていたけれど、本当に綺麗な人で、初めて見た時なんか、僕と一緒にいたハーマイオニーやロン、それから通行人達までもそのの容姿に、息を呑んでみんながカルをラ見ていたのを今でも覚えている。

そんなやシリウス、ルーピン先生のおかげで、僕は今ダーズリー家ではなく、の家で素敵な夏休みを過ごしている最中だ。



「・・・何見てるんだ?」
「ああ、シリウス。シャワー浴び終わったのか?」


僕にアルバムを見せてくれて、指で差しながら説明をしてくれていたの隣に勢いよく座ったのは、さっきまでシャワーを浴びに行っていたシリウス。ルーピン先生は僕の隣での説明を懐かしそうに聞いていた。先生がシリウスの分の紅茶をティーカップに入れて差し出すとシリウスは「  サンキュ、リーマス。」 そう言って少しだけそれを口に含める。


「ああ、終わった。  で、それは何だ?」
「ふふ、俺達が生徒だった時のアルバムだよ。ほら、俺がよく写真を撮っていただろう?」


僕が食い入るように見ていたそのアルバムを見やりながら、の言葉を聞いたシリウスは、「ああ、あの時のか!」 なんて楽しそうに目を輝かせた。それからシリウスは嬉しそうに、僕に写真の1つ1つを説明してくれる。


「ハリー、これがジェームズなのは分かるだろ?」
「うん。」
「じゃあ、このジェームズと一緒に箒で飛んでる奴、誰だか分かるか?」


そう言って、僕の父さんが箒に乗っている写真を指差すシリウス。父さんは楽しそうに何かを追いかけているように見えたから、クィディッチの練習をしている写真だろうか。けれど、父さんの隣で楽しそうに笑っている、この格好いい人は・・・誰だろう?シリウス・・・でもなさそうだ、ルーピン先生・・・の方をちらりと見やったけど、どうやら違うらしい。先生も首を横に振った。「うーん、分からない。父さんと一緒に練習をしている人は誰なの?」 両手を上げて降参のポーズを取った僕がシリウスにそう訊ねると、僕の言葉を待ってましたと言わんばかりに、笑みを深めて、愛おしそうに隣にいるを見ながら、


「これな、 なんだ。」
「・・・・え、ええ!!この、父さんと一緒にいる人、なの!?」


シリウスの言葉に、僕は思わず飛び退いてしまった。格好いい人だとは思ったけれど、まさかこの箒に乗っている人がだなんて!今と雰囲気が違ったように見えたから、僕は写真とを見比べてしまう。そんな事をしていればと目が合って、「いつもは、その、シリウス達を撮る方側なんだが・・・この時は、預けていたシリウスに撮られてしまってね。」 なんては恥ずかしそうに言葉を紡ぎ出した。そうか、今見ていたアルバムの中になかった顔だなと思ったのは、それが理由なんだ。


それからが父さんと同じくらいスニッチを捕まえるのが上手かったのだという事を聞いて、また僕は驚いた。けれど、は父さんが試合に出た方が良いだろうとシーカーを譲ったのだという事も。「俺は、ああいう、みんなに見られるイベント事に、どうも慣れない体質でね。」なんては言葉を漏らしていたけど。でも、は度々父さんと一緒に練習には参加していたらしい。父さんが「がいないと練習に張りが出ないんだ!」なんて言ったのが理由らしいんだけれど。



「   ・・・この写真の後、、急に箒が失速したよな。」


ふと、思い出しかのように、ぽつりとシリウスがそんな言葉を放った。聞いていた僕はびっくりして「ええ!大丈夫だったの!?」 と思わず大きな声でに訊いてしまった。そうすれば、「まあ、うん。・・・大丈夫、だったかな。」 なんて何とも歯切れの悪い返事が聞こえてきて、僕がそれに言い返そうとしたんだけれど、それよりも早くその返事に反撃をしたのは、の隣に座っていたシリウスだった。


「大丈夫じゃなかっただろ!あの後、箒から落ちたじゃねえか!!」
「え、ええ!!?」
「いや、でも無傷だったじゃないか。」
「そう言う問題じゃないだろ!落ちた後、声かけても返事しねえし、」


「どれだけ、心配したと思ってんだ  」 顔をしかめながらの方から床へと視線を移したシリウスは、とても悲しそうな、不安そうな顔をしていた。その時の事を思い出しちゃったのかも知れない、シリウスがの手を探り当てると、離すまいと力強く握っているのが僕の視界に入ってきて。けれど、それと同時にの手もシリウスの手を優しく握っているのが、


「  シリウス、」
「心配、したんだからな。」
「  ・・・ああ、知ってる。」


シリウスのその声に、優しく、愛おしそうに返事をするの瞳には、その声と同じような色を見せながら、シリウスを視界に捉えていて。「いつもいつも、自分の事を後回しにして、」 そう放たれたシリウスの言葉にも、ただは優しく頷いて。

それから、抑えきれなくなって相手の背中に腕を伸ばしたのは、今日も、


「   ・・・さ、紅茶を淹れ直してこようかな。ハリー、一緒に来てくれるかい?」
「ふふ、はい。」


ルーピン先生と僕の会話なんて届いていないんだろう2人に、一応そう声を出した僕と先生はとシリウスと同じように笑みを浮かべて、広いキッチンへと一緒に足を向けるのだった。

たまらない余韻

「  自分の事、もっと大切にしろ。」 「ふふ、シリウスがそれを望むなら。」 なんて声が、僕と先生の背中へと響いてくるんだ。




素敵なリクエストをありがとうございました!
requested by ノア様


title by farfalla / たまらない余韻